ハイレベルな場所で優勝した力士達

大相撲は場所によって優勝する難易度が変わります。

例えば、優勝ラインが高かったり、横綱大関が多く出場している場所は優勝するハードルが高くなります。反対に、優勝ラインが低かったり、横綱大関に在位している力士の人数が少なかったり、横綱大関の休場者が多く出た場所では優勝するハードルが低くなります。

したがって様々な条件が重なれば超ハイレベルな場所になることがたまにあります。私はそのような厳しい場所で優勝した力士について興味があったので調べてみました。

条件は横綱戦と大関戦での対戦回数の合計が5回以上(優勝決定戦を除く)、かつ優勝同点または優勝次点が13勝以上とします。

対象になるのは15日制で開催された全ての場所です。それは戦前に15日制で行われた1939年5月場所~1944年1月場所と、15日制が定置した1949年5月場所以降です。 

 

☆1949年 夏場所(5月)

【優勝】 増位山(大関)

〖成績〗 13勝2敗

〈優勝同点〉 13勝2敗{羽嶋山(前頭17)}

[横綱戦] 〇東富士、〇前田山、⚫照國、〇羽黒山

[大関戦] 〇佐賀ノ花

 

☆1951年 春場所(1月)

【優勝】 照國(横綱)

〖成績〗15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{吉葉山(関脇)、三根山(関脇)}

[横綱戦] 〇東富士、〇羽黒山

[大関戦] 〇千代ノ山、〇汐ノ海、〇佐賀ノ花

 

☆1962年 秋場所(9月)

【優勝】大鵬(横綱)

〖成績〗 13勝2敗

〈優勝同点〉 13勝2敗{佐田の山(大関)}

[横綱戦] 〇柏戸

[大関戦] ⚫栃光、〇佐田の山、⚫北葉山、〇栃ノ海

 

☆1963年 夏場所(5月)

【優勝】 大鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{豊山(大関)}

[横綱戦] なし

[大関戦] 〇栃光、〇栃ノ海、〇北葉山、〇豊山(初代)、〇佐田乃山

 

☆1963年 秋場所(9月)

【優勝】 柏戸(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{大鵬(横綱)}

[横綱戦] 〇大鵬

[大関戦] 〇佐田乃山、〇北葉山、〇栃光、〇豊山、〇栃ノ海

 

☆1964年 初場所(1月)

【優勝】 大鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{清國(前頭13)}

[横綱戦] 〇柏戸

[大関戦] 〇栃ノ海、〇豊山、□佐田の山、〇北葉山、〇栃光

 

☆1964年 春場所(3月)

【優勝】 大鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{柏戸(横綱)}

[横綱戦] 〇柏戸、〇栃ノ海

[大関戦] 〇佐田の山、〇北葉山、〇豊山

 

☆1964年 秋場所(9月)

【優勝】 大鵬(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{佐田の山(大関)}

[横綱戦] 〇栃ノ海

[大関戦] 〇豊山、〇北葉山、〇栃光、〇佐田の山

 

☆1967年 春場所

【優勝】 北の富士(大関)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗  {大鵬(横綱)、陸奥嵐(前頭14)}

[横綱戦] ⚫大鵬、〇佐田の山、〇柏戸

[大関戦] 〇玉乃島、〇豊山

 

☆1970年 九州場所(11月)

【優勝】 玉の海(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{大鵬(横綱)}

[横綱戦] ⚫大鵬、〇北の富士

[大関戦] 〇大麒麟、〇清國、〇琴櫻、〇前乃山

 

☆1971年 初場所(1月)

【優勝】 大鵬(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{玉の海(横綱)}

[横綱戦] 〇玉の海、〇北の富士

[大関戦] 〇清國、⚫琴櫻、〇前の山

 

☆1977年 春場所(3月)

【優勝】 北の湖(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{貴ノ花(大関)}

[横綱戦] 〇輪島

[大関戦] 〇貴ノ花、〇若三杉(2代目)、〇魁傑、〇三重ノ海、〇旭國

 

☆1977年 名古屋場所(7月)

【優勝】 輪島(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{北の湖(横綱)}

[横綱戦] 〇北の湖

[大関戦] 〇若三杉、〇貴ノ花、〇旭國、〇三重ノ海

 

☆1977年 秋場所(9月)

【優勝】北の湖(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{旭國(大関)}

[横綱戦] 〇輪島

[大関戦] 〇若三杉、〇旭國、〇貴ノ花、〇三重ノ海、〇魁傑

 

☆1977年 九州場所(11月)

【優勝】 輪島(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{北の湖(横綱)}

[横綱戦] 〇北の湖

[大関戦] 〇旭國、〇若三杉、〇貴ノ花、⚫三重ノ海

 

☆1978年 夏場所(5月)

【優勝】 北の湖(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{若三杉(大関)}

[横綱戦] 〇輪島

[大関戦] ⚫若三杉、〇旭國、〇三重ノ海、〇貴乃花(初代)

 

☆1978年 名古屋場所(7月)

【優勝】 北の湖(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{輪島(横綱)}

[横綱戦] 〇若乃花(2代目)、〇輪島

[大関戦] 〇三重ノ海、〇旭國、〇貴ノ花

 

☆1979年 名古屋場所(7月)

【優勝】 輪島(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{三重ノ海(大関)}

[横綱戦] 〇若乃花、〇北の湖

[大関戦] ⚫三重ノ海、〇貴ノ花、〇旭國

 

☆1983年 九州場所(11月)

【優勝】 千代の富士(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{隆の里(横綱)}

[横綱戦] 〇隆の里、〇北の湖

[大関戦] 〇若嶋津、〇琴風、〇北天佑

 

☆1986年 名古屋場所(7月)

【優勝】 千代の富士(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{北尾(大関)}

[横綱戦] なし

[大関戦] ⚫北尾、〇大乃国、〇朝潮、〇北天佑、〇若嶋津

 

☆1987年 夏場所(5月)

【優勝】 大乃国(大関)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{北勝海(大関)}

[横綱戦] 〇千代の富士、〇双羽黒

[大関戦] 〇北勝海、〇朝潮、〇若嶋津

 

☆1987年 秋場所(9月)

【優勝】 北勝海(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{大乃国(大関)}

[横綱戦] 〇双羽黒

[大関戦] ⚫大乃国、〇小錦、〇朝潮、〇北天佑

 

☆1987年 九州場所(11月)

【優勝】 千代の富士(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{北勝海(横綱)、双羽黒(横綱)}

[横綱戦] 〇大乃国、〇双羽黒

[大関戦] 〇小錦、〇旭富士、〇朝潮、〇北天佑

 

☆1988年 初場所(1月)

【優勝】 旭富士(大関)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{小錦(大関)}

[横綱戦] 〇千代の富士、⚫北勝海

[大関戦] 〇北天佑、〇小錦、〇朝潮

 

☆1988年 春場所(3月)

【優勝】 大乃国(横綱)

〖成績〗 13勝2敗

〈優勝同点〉 13勝2敗{北勝海(横綱)}

[横綱戦] 〇北勝海

[大関戦] 〇旭富士、〇小錦、〇北天佑、〇朝潮

 

☆1990年 夏場所(5月)

【優勝】 旭富士(大関)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{千代の富士(横綱)}

[横綱戦] ⚫千代の富士、〇北勝海

[大関戦] 〇小錦、〇霧島、〇北天佑

 

☆2000年 夏場所(5月)

【優勝】 魁皇(小結)

〖成績〗 14勝1敗 

〈優勝次点〉 13勝2敗{曙(横綱)、貴乃花(横綱)}

[横綱戦] ⚫曙、〇貴乃花(2代目)

[大関戦] 〇出島、〇千代大海、〇貴ノ浪

 

☆2000年 九州場所(11月)

【優勝】 曙(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{琴光喜(前頭9)}

[横綱戦] 〇武蔵丸、〇貴乃花

[大関戦] 〇魁皇、〇千代大海、〇出島、〇雅山、〇武双山

 

☆2001年 初場所(1月)

【優勝】 貴乃花(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{武蔵丸(横綱)}

[横綱戦] ⚫武蔵丸

[大関戦] 〇魁皇、〇出島、〇雅山、〇武双山

 

☆2001年 夏場所(5月)

【優勝】 貴乃花(横綱)

〖成績〗 13勝2敗

〈優勝同点〉 13勝2敗{武蔵丸(横綱)}

[横綱戦] ⚫武蔵丸

[大関戦] ⚫武双山、〇出島、〇雅山、〇千代大海

 

☆2006年 名古屋場所(7月)

【優勝】 朝青龍(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{白鵬(大関)}

[横綱戦] なし

[大関戦] ⚫白鵬、〇千代大海、〇魁皇、〇琴欧洲、〇栃東

 

☆2007年 春場所(3月)

【優勝】 白鵬(大関)

〖成績〗 13勝2敗

〈優勝同点〉 13勝2敗{朝青龍(横綱)}

[横綱戦] ⚫朝青龍

[大関戦] 〇千代大海、〇琴欧洲、〇魁皇、〇栃東

 

☆2009年 初場所(1月)

【優勝】 朝青龍(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{白鵬(横綱)}

[横綱戦] ⚫白鵬

[大関戦] 〇琴光喜、〇千代大海、〇琴欧洲、〇魁皇、〇日馬富士

 

☆2009年 夏場所(5月)

【優勝】 日馬富士(大関)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{白鵬(横綱)}

[横綱戦] ⚫白鵬、〇朝青龍

[大関戦] 〇琴欧洲、〇魁皇、〇琴光喜、〇千代大海

 

☆2009年 名古屋場所(7月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{琴欧洲(大関)}

[横綱戦] 〇朝青龍

[大関戦] 〇日馬富士、〇琴欧洲、〇魁皇、⚫琴光喜、〇千代大海

 

☆2009年 秋場所(9月)

【優勝】 朝青龍(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝同点〉 14勝1敗{白鵬(横綱)}

[横綱戦] ⚫白鵬

[大関戦] 〇琴欧洲、〇琴光喜、〇日馬富士、〇魁皇、〇千代大海

 

☆2012年 春場所(3月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 13勝2敗

〈優勝同点〉 13勝2敗{鶴竜(関脇)}

[横綱戦] なし

[大関戦] 〇把瑠都、〇日馬富士、⚫稀勢の里、〇琴欧洲、〇琴奨菊

 

☆2012年 名古屋場所(7月)

【優勝】日馬富士(大関)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{白鵬(横綱)}

[横綱戦] 〇白鵬

[大関戦] 〇稀勢の里、〇琴奨菊、〇把瑠都、〇琴欧洲、〇鶴竜

 

☆2013年 夏場所(5月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇日馬富士

[大関戦] 〇稀勢の里、〇鶴竜、〇琴奨菊、〇琴欧洲

 

☆2016年 春場所(3月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇日馬富士、〇鶴竜

[大関戦] 〇琴奨菊、〇稀勢の里、〇豪栄道、〇照ノ富士

 

☆2016年 夏場所(5月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇鶴竜、〇日馬富士

[大関戦] 〇稀勢の里、〇豪栄道、〇琴奨菊、〇照ノ富士

 

☆2016年 秋場所(9月)

【優勝】 豪栄道(大関)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{遠藤(前頭14)}

[横綱戦] 〇日馬富士、〇鶴竜

[大関戦] 〇稀勢の里、〇照ノ富士、〇琴奨菊

 

※合計42回

昭和時代に25回、平成時代に17回

20世紀に28回、21世紀に14回

15日制で開催された場所は2020年3月場所時点で421場所なので、平均するとおよそ10場所に1回のペースでこのような場所になっています。

 

 

それでは更に条件を厳しくしたらどうなるのか調べてみます。

条件は横綱戦で複数回勝利、かつ横綱戦と大関戦での勝利数の合計が5勝以上(優勝決定戦を除く)、かつ優勝同点あるいは優勝次点が13勝以上とします。

対象になるのは15日制で開催された全ての場所です。それは戦前に15日制で行われた1939年5月場所~1944年1月場所と、15日制が定置した1949年5月場所以降です。

 

☆1951年 春場所(1月)

【優勝】 照國(横綱)

〖成績〗15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{吉葉山(関脇)、三根山(関脇)}

[横綱戦] 〇東富士、〇羽黒山

[大関戦] 〇千代ノ山、〇汐ノ海、〇佐賀ノ花

 

☆1964年 春場所(3月)

【優勝】 大鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{柏戸(横綱)}

[横綱戦] 〇柏戸、〇栃ノ海

[大関戦] 〇佐田の山、〇北葉山、〇豊山(初代)

 

☆1978年 名古屋場所(7月)

【優勝】 北の湖(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 14勝1敗{輪島(横綱)}

[横綱戦] 〇若乃花(2代目)、〇輪島

[大関戦] 〇三重ノ海、〇旭國、〇貴ノ花

 

☆1983年 九州場所(11月)

【優勝】 千代の富士(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{隆の里(横綱)}

[横綱戦] 〇隆の里、〇北の湖

[大関戦] 〇若嶋津、〇琴風、〇北天佑

 

☆1987年 夏場所(5月)

【優勝】 大乃国(大関)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{北勝海(大関)}

[横綱戦] 〇千代の富士、〇双羽黒

[大関戦] 〇北勝海、〇朝潮、〇若嶋津

 

☆1987年 九州場所(11月)

【優勝】 千代の富士(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{北勝海(横綱)、双羽黒(横綱)}

[横綱戦] 〇大乃国、〇双羽黒

[大関戦] 〇小錦、〇旭富士、〇朝潮、〇北天佑

 

☆2000年 九州場所(11月)

【優勝】 曙(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{琴光喜(前頭9)}

[横綱戦] 〇武蔵丸、〇貴乃花

[大関戦] 〇魁皇、〇千代大海、〇出島、〇雅山、〇武双山

 

☆2016年 春場所(3月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 14勝1敗

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇日馬富士、〇鶴竜

[大関戦] 〇琴奨菊、〇稀勢の里、〇豪栄道、〇照ノ富士

 

☆2016年 夏場所(5月)

【優勝】 白鵬(横綱)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇鶴竜、〇日馬富士

[大関戦] 〇稀勢の里、〇豪栄道、〇琴奨菊、〇照ノ富士

 

☆2016年 秋場所(9月)

【優勝】 豪栄道(大関)

〖成績〗 15勝(全勝優勝)

〈優勝次点〉 13勝2敗{遠藤(前頭14)}

[横綱戦] 〇日馬富士、〇鶴竜

[大関戦] 〇稀勢の里、〇照ノ富士、〇琴奨菊

 

※合計10回

平均するとおよそ7年に1回のペースでこのような場所になっています。

しかし2016年に3回、1987年に2回あるので、一定の期間に集中的にこのような場所になるようです。

 

 

次に全勝優勝についてです。

全勝優勝は横綱でも滅多に経験出来ない快挙であり、15日制で開催された場所(1939年5月場所~1944年1月場所と15日制が定着した1949年5月場所以降)で全勝優勝を達成した力士は26人しかいません。

そんな全勝優勝を超ハイレベルな場所で達成した力士について調べてみました。

条件は全勝優勝を達成し、かつ横綱戦と大関戦の対戦回数が5回以上、かつ優勝次点が13勝以上とします。

 

☆1951年 春場所(1月) 【照國(横綱)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{吉葉山(関脇)、三根山(関脇)}

[横綱戦] 〇東富士、〇羽黒山

[大関戦] 〇千代ノ山、〇汐ノ海、〇佐賀ノ花

 

☆1963年 夏場所(5月) 【大鵬(横綱)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{豊山(大関)}

[横綱戦] なし

[大関戦] 〇栃光、〇栃ノ海、〇北葉山、〇豊山(初代)、〇佐田乃山

 

☆1963年 秋場所(9月) 【柏戸(横綱)】

〈優勝次点〉 14勝1敗{大鵬(横綱)}

[横綱戦] 〇大鵬

[大関戦] 〇佐田乃山、〇北葉山、〇栃光、〇豊山、〇栃ノ海

 

☆1964年 初場所(1月) 【大鵬(横綱)】

〈優勝次点〉 14勝1敗{清國(前頭13)}

[横綱戦] 〇柏戸

[大関戦] 〇栃ノ海、〇豊山、□佐田の山、〇北葉山、〇栃光

 

☆1964年 春場所(3月) 【大鵬(横綱)】

〈優勝次点〉 14勝1敗{柏戸(横綱)}

[横綱戦] 〇柏戸、〇栃ノ海

[大関戦] 〇佐田の山、〇北葉山、〇豊山

 

☆1977年 春場所(7月) 北の湖(横綱)

〈優勝次点〉 13勝2敗{貴ノ花(大関)}

[横綱戦] 〇輪島

[大関戦] 〇貴ノ花、〇若三杉(2代目)、〇魁傑、〇三重ノ海、〇旭國

 

☆1977年 名古屋場所(7月) 【輪島(横綱)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{北の湖(横綱)}

[横綱戦] 〇北の湖

[大関戦] 〇若三杉、〇貴ノ花、〇旭國、〇三重ノ海

 

☆1977年 秋場所(9月) 【北の湖(横綱)】

〈優勝次点〉 14勝1敗{旭國(大関)}

[横綱戦] 〇輪島

[大関戦] 〇若三杉、〇旭國、〇貴ノ花、〇三重ノ海、〇魁傑

 

☆1978年 名古屋場所(7月) 【北の湖(横綱)】

〈優勝次点〉 14勝1敗{輪島(横綱)}

[横綱戦] 〇若乃花(2代目)、〇輪島

[大関戦] 〇三重ノ海、〇旭國、〇貴ノ花

 

☆1987年 夏場所(5月) 【大乃国(大関)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{北勝海(大関)}

[横綱戦] 〇千代の富士、〇双羽黒

[大関戦] 〇北勝海、〇朝潮、〇若嶋津

 

☆1987年 九州場所(11月) 【千代の富士(横綱)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{北勝海(横綱)、双羽黒(横綱)}

[横綱戦] 〇大乃国、〇双羽黒

[大関戦] 〇小錦、〇旭富士、〇朝潮、〇北天佑

 

☆2012年 名古屋場所(7月) 【日馬富士(大関)】

〈優勝次点〉 14勝1敗{白鵬(横綱)}

[横綱戦] 〇白鵬

[大関戦] 〇稀勢の里、〇琴奨菊、〇把瑠都、〇琴欧洲、〇鶴竜

 

☆2013年 夏場所(5月) 【白鵬(横綱)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇日馬富士

[大関戦] 〇稀勢の里、〇鶴竜、〇琴奨菊、〇琴欧洲

 

☆2016年 夏場所(5月) 【白鵬(横綱)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{稀勢の里(大関)}

[横綱戦] 〇鶴竜、〇日馬富士

[大関戦] 〇稀勢の里、〇豪栄道、〇琴奨菊、〇照ノ富士

 

☆2016年 秋場所(9月) 【豪栄道(大関)】

〈優勝次点〉 13勝2敗{遠藤(前頭14)}

[横綱戦] 〇日馬富士、〇鶴竜

[大関戦] 〇稀勢の里、〇照ノ富士、〇琴奨菊

 

※計15回

平均するとおよそ28場所に1回のペースでこのような場所になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝乃山と豪栄道

★朝乃山

朝乃山には4つの幸運がある。

①大学時代から入門まで

 大学時代には3年生まで目立った実績がなかったが、相撲界入りする際に重要な4年生で全日本相撲選手権大会で3位、国体成年の部4位になる。朝乃山が相撲界入りする直前に三段目最下位格付け出し制度が出来て、彼はその制度を利用して三段目からデビュー。同制度適用第一号。

②優勝

幕内では13勝以上が一度もなく、12勝が2回。そのうちの1場所(2019年夏場所)で優勝(横綱との対戦なし)し、それにより令和初の優勝力士となる。
しかもその場所の千秋楽で当時来日して大相撲観戦をしていたトランプ大統領から直接アメリカ合衆国大統領杯(トランプ杯)を受け取り、一躍時の人となる。

③年間最多勝

2019年は横綱や当時の大関が休場だらけで年間最多勝のラインが異常に低くなり、その恩恵を受けた結果当時小結だった朝乃山が史上最少勝利数(55勝)で年間最多勝を獲得する。

大関昇進

大関取りでは当時の両横綱が高齢で休場が多く、大関貴景勝1人しかいなかったことが追風となり、3場所32勝(不戦勝2つ含む)で大関昇進
不戦勝の相手は横綱鶴竜と元大関高安だったので負けていた可能性も十分にあったから幸運だった。
横綱戦は3戦全敗だったが場所全体の相撲内容を評価された。

 

 

豪栄道

彼の誇れる実績

全勝優勝

大関在位33場所(歴代10位)

大関時代の勝利数260勝(最高位が大関の力士に限る、歴代10位)

20連勝

・14場所連続関脇在位記録

 

 

 

 

初日 勝ち 栃ノ心
(後の大関、優勝1回、年間最多勝1回)
2日目 勝ち 正代
(後の大関、優勝1回)
3日目 勝ち 栃煌山
(元関脇)
4日目 勝ち 貴ノ岩
(※前頭)
5日目 勝ち 宝富士
(※関脇)
6日目 勝ち 高安
(※関脇、後の大関)
7日目 勝ち 隠岐の海
(元関脇)
8日目 勝ち 嘉風
(元関脇)
9日目 勝ち 碧山
(元関脇)
10日目 勝ち 照ノ富士
(※大関、後の横綱、優勝9回:全勝優勝1回、年間最多勝1回)
11日目 勝ち 稀勢の里
(※大関、後の横綱、優勝2回、年間最多勝1回)
12日目 勝ち 鶴竜
(※横綱、優勝6回)
13日目 勝ち 日馬富士
(※横綱、優勝9回:全勝優勝3回)
14日目 勝ち 玉鷲
(後の関脇、優勝2回)
千秋楽 勝ち 琴奨菊
(※大関、優勝1回)

※印は当時の番付

優勝9回、全勝優勝3回の横綱日馬富士

優勝6回の横綱鶴竜

優勝2回で後の横綱である大関稀勢の里

優勝9回、全勝優勝1回、年間最多勝1回で後の横綱である大関照ノ富士

 

 

優勝1回の大関琴奨菊

後の大関である関脇高安

優勝1回、年間最多勝1回で後の大関である栃ノ心

優勝2回で後の関脇である玉鷲

優勝1回で後の大関である正代

彼らの他にも貴ノ岩以外は全員元関脇か後の関脇、あるいは当時の関脇との対戦であった。そんな状況で全勝した。

この場所は横綱戦と大関戦の対戦回数が5回あり、優勝次点が13勝というハイレベルな場所であった。横綱戦と大関戦の対戦回数が5回以上(優勝決定戦を除く)あり、優勝次点が13勝以上という条件で優勝した力士は21世紀以降では横綱(後に横綱に昇進した力士も含む)以外は豪栄道しかいない。

また、横綱戦で複数人から勝利、かつ横綱戦と大関戦での勝利数が5勝以上(優勝決定戦を除く)、かつ優勝次点が13勝以上という条件で優勝した力士は15日制で開催された場所(1939年5月場所~1944年1月場所と15日制が定着した1949年5月場所以降)では合計10人しかいない。豪栄道大乃国大関でその他は全員横綱。ちなみに大乃国は後に横綱に昇進しているので最高位が大関なのは豪栄道だけである。

 

 

 

 

 

大関朝乃山は強運である

2020年春場所後、朝乃山は大関昇進が決定した。
しかしこの朝乃山という青年、実はとんでもない強運の持ち主なのである。
 
近畿大学時代、後の朝乃山である石橋は、個人タイトルを7つ獲得した。しかし、3年生までは主要な大会のタイトルは無かった
ところが、4年生で国体成年の部4位、全日本相撲選手権大会ベスト4の実績を残したことで、2015年5月に創設されたばかりの三段目付出資格を取得した。
石橋の三段目付出入門は2016年1月28日に日本相撲協会の理事会で承認され、同制度の適用第1号となった。これは幸運である。何故なら、もしこの制度がなかったら、石橋は前相撲から相撲を取らなければならなかったからである。前相撲からのスタートと三段目からのスタートでは全然違うのだ。
 
石橋は2016年春場所初土俵を踏むと順調に出世していき、初土俵から1年後の2017年春場所十両へ昇進し、その際に石橋改め朝乃山と四股名を変える。
その3場所後の秋場所では新入幕を果たす。
新入幕であった2017年秋場所から2019年春場所までは平凡な平幕力士であった。
しかし時代が平成から令和に変わるとまるで別人になったかのように強くなったのである。
令和初の本場所となった2019年夏場所。幸運な出来事が起こった。当時優勝争いをしていた栃ノ心との戦いで誤審により勝利したのである。ちなみにこの場所では横綱鶴竜も優勝争いしていたが、鶴竜戦は組まれなかった。
結果的に12勝3敗で平幕優勝を果たした。朝乃山が12勝以上した場所は2回あるが、そのうち1回は優勝なのである。何と幸運なのだろうか。ちなみに13勝以上は経験はない。
しかも彼は令和初の優勝力士となったのである。
もうその時点で幸運なのだが、この場所では米国のトランプ大統領が千秋楽に大相撲を観戦したことにより、朝乃山はトランプ大統領から直接アメリカ合衆国大統領杯を受け取った。これはただの幸運では片付けられない。朝乃山にとっては一生忘れられない出来事だっただろう。
朝乃山にとって飛躍の年となった2019年の成績は55勝35敗であった。この年は横綱や当時の大関が休場や不振が目立ったことによって勝ち星が伸びず、その結果幸運なことに当時まだ小結であった朝乃山が史上最少勝利数で年最多勝を獲得した。また、1年間小結以下の地位での年間最多勝は史上初であった。
 
大関挑戦は新小結だった2019年九州場所から始まり、九州場所新小結で11勝、2020年初場所新関脇で10勝、春場所関脇で11勝。三役として3場所計32勝という結果を残した。
大関昇進の目安とされる33勝には1勝届かなかったが、審判部が朝乃山の相撲内容を高く評価したことによって大関へ昇進となった。
この大関に挑戦していた3場所中にも幸運があった。
2019年九州場所初日の横綱鶴竜戦と2020年春場所5日目の元大関高安戦が不戦勝だったのだ。32勝中2勝は不戦勝だったのである。
2人とももし戦っていたら苦戦を強いられていたであろう相手だっただけにこの不戦勝2つはかなり大きかった。
また、審判部に良い印象を与えるためにも重要だった横綱戦では3戦全敗であった。しかし、場所全体の相撲内容が評価されて大関昇進となった。
 
以上である。
一体どれだけの数の幸運があったことだろうか。羨ましいくらいの運の良さを彼は持っている。
しかし彼はまだ27歳。これまで幸運によって数々の成功や幸せを掴んできたが、それはあくまで現時点での話である。将来的には運なんかに頼らなくても絶対的な実力でスターになれる可能性を秘めている力士である。是非絶対的な実力で私を黙らせてほしいものだ。
これからの活躍が楽しみにしている。
相撲ファンはみんな稀勢の里以来の日本出身横綱誕生を夢見ている。是非彼にはそれを実現させてもらいたい。

元大関豪栄道の各場所ごとの通算成績を振り返る

初場所

通算成績 108勝107敗2休 勝率.502 (16場所)
幕内通算成績 97勝96敗2休 勝率.503 (13場所)
(1場所あたり7.5勝)
大関通算成績 42勝46敗2休 勝率.477 (6場所)
(1場所あたり7.2勝)

技能賞1回
金星1個(朝青龍)

[備考]
2005年初土俵
2020年初場所後に引退


春場所

通算成績 116勝60敗18休 勝率.659 (14場所)
幕内通算成績 95勝 52敗 18休 勝率.646 (11場所)
(1場所あたり9.7勝)
大関通算成績 42勝24敗 9休 勝率.636 (5場所)
(1場所あたり9.5勝)

殊勲章1回
敢闘賞1回
序ノ口優勝1回(全勝)

[備考]
2011年は八百長問題により中止


夏場所

通算成績 111勝91敗7休 勝率.550 (15場所)
幕内通算成績 95勝78敗7休 勝率.549 (12場所)
(1場所あたり8.2勝)
大関通算成績 38勝30敗7休 勝率.559 (5場所)
(1場所あたり8.4勝)

殊勲章2回
技能賞1回

[備考]
2011年は技量審査場所


名古屋場所

通算成績 103勝83敗23休 勝率.554 (15場所)
幕内通算成績 80勝77敗23休 勝率.510 (11場所)
(1場所あたり7.6勝)
大関通算成績 36勝32敗7休 勝率.529 (5場所)
(1場所あたり7.9勝)

殊勲章1回
三段目優勝1回(全勝)

[備考]
2010年は野球賭博への関与発覚により出場停止
2014年名古屋場所大関昇進


秋場所

通算成績 146勝63敗 勝率.699 (15場所)
幕内通算成績 123勝57敗 勝率.683 (12場所)
(1場所あたり10.25勝)
大関通算成績 63勝27敗 勝率.700 (6場所)
(1場所あたり10.5勝)

幕内最高優勝1回(全勝)
殊勲章1回
敢闘賞2回
幕下優勝1回(全勝)

[備考]
2016年は史上初のカド番からの全勝優勝
2017年は優勝同点
負け越しは2015年のみ
休場なし


九州場所

通算成績 112勝89敗16休 勝率.557 (15場所)
幕内通算成績 97勝82敗16休 勝率.542 (13場所)
(1場所あたり8.1勝)
大関通算成績 34勝25敗16休 勝率.576 (6場所)
(1場所あたり8.6勝)

技能賞1回
幕下優勝1回(全勝)

[備考]
2006年に四股名を澤井から豪栄道へと改名


このような結果となりました。
秋場所ではまるで別人のような素晴らしい成績を叩き出しています。これは偶然か必然か。
地元の春場所秋場所ほどではないにしろ比較的得意だったようです。
秋場所春場所で活躍していたということは、つまり半年に一度の周期で活躍していたということになりますね。

それに対して初場所はかなり苦手だったようです。
結果的に引退場所にもなりました。
名古屋場所も苦手だったようで、大関時代には3度も負け越しています。
その影響で秋場所では大関だった全6場所中3回がカド番でした。あの全勝優勝した時もカド番でしたね。
夏場所九州場所に関しては特に得意でもなく苦手でもなくといったところでしょうか。

しかし現役最後の九州場所は初日に結果的に引退の原因となった左足首の大怪我をしてしまいました。
翌場所カド番となりましたが、初場所は普通の状態でも大の苦手なのに、身体が満身創痍では良い結果が残せるはずがありませんね。これでは大関から陥落しても仕方がないか。
大関豪栄道の武隈親方、お疲れ様でした。
あの全勝優勝の感動は一生忘れません。

大相撲の15戦全勝優勝の回数について

15戦全勝優勝の回数

16回 白鵬
8回 大鵬
7回 北の湖千代の富士
5回 朝青龍
4回 貴乃花
3回 双葉山北の富士、輪島、日馬富士
2回 隆の里
1回 羽黒山照國、時津山、吉葉山千代の山玉乃海栃錦、初代若乃花玉の海、二代目若乃花三重ノ海、若島津、大乃国武蔵丸豪栄道照ノ富士

[備考]
15日制で開催された場所は1939年5月場所から1944年1月場所までの10場所と1949年夏場所以降。
15日制ではない場所での全勝優勝は含まない。

計27人77回
☆達成者の最高位
横綱23人
大関2人(若嶋津豪栄道)
関脇2人(時津山、玉乃海)※共に達成時は平幕

平成以降の全勝優勝について

平成以降に全勝優勝を達成した力士を振り返ってみたいと思います。

平成元年秋場所 千代の富士
平成6年名古屋場所 武蔵丸
平成6年秋場所 貴ノ花
平成6年九州場所 貴乃花
平成7年秋場所 貴乃花
平成8年秋場所 貴乃花
平成16年初場所 朝青龍
平成16年春場所 朝青龍
平成17年初場所 朝青龍
平成17年夏場所 朝青龍
平成18年九州場所 朝青龍
平成19年夏場所 白鵬
平成20年名古屋場所 白鵬
平成21年春場所 白鵬
平成21年九州場所 白鵬
平成22年春場所 白鵬
平成22年夏場所 白鵬
平成22年名古屋場所 白鵬
平成22年秋場所 白鵬
平成24年名古屋場所 日馬富士
平成24年秋場所 日馬富士
平成25年初場所 日馬富士
平成25年春場所 白鵬
平成25年夏場所 白鵬
平成27年初場所 白鵬
平成28年夏場所 白鵬
平成28年秋場所 豪栄道
平成29年夏場所 白鵬
平成30年秋場所 白鵬
平成31年春場所 白鵬
令和3年名古屋場所 白鵬
令和3年九州場所 照ノ富士

全勝優勝回数(計32回)
16回 白鵬
5回 朝青龍
4回 貴乃花
3回 日馬富士
1回 千代の富士武蔵丸豪栄道照ノ富士

元大関豪栄道を応援した日々

私は2015年初場所から2020年初場所までの丸5年間、豪栄道ファンでした。

私が豪栄道に興味を持ったきっかけは2015年初場所、カド番で5勝7敗から3連勝して千秋楽にカド番を脱出した時でした。
その後もギリギリ大関の地位を守り続ける姿を見て、怖いもの見たさでどんどん夢中になっていきました。2015年の豪栄道は8勝ばかりだったんですよね。
そして私を大の豪栄道ファンにした決定的な出来事が、2015年九州場所に2度目の千秋楽カド番脱出をした時でした。
この九州場所直前、豪栄道は手首を骨折していたんですよね。そんな状態でも必死に大関の座を守ろうとする姿に感動したのです。
それからは親が我が子を見守るような気持ちで応援していましたね。
まぁ大関に対して我が子だなんて失礼なんですけど(笑)。
とにかく目標は勝ち越しなんですよ。8勝すればそれで良いんです。私の感覚では二桁勝利なんておまけみたいなものでした。大関としてはそれではダメなんですけどね。

場所が始まる前は定期テストがこれから始まるような感覚。豪栄道が勝ち越しを決めた瞬間、定期テストが終わったような感覚。カド番脱出を決めた瞬間は気が狂ったように喜んだ思い出。
懐かしいなぁ。もう二度とあの感覚は味わえないんだなぁ。幸せだったな。

そして2016年秋場所、奇跡が起こりました。
全勝優勝です。優勝すら考えたこともなかったのに、まさか全勝優勝を成し遂げるとは。
そもそもこの場所はカド番だったんですよね。中日にカド番脱出した時には勿論アホみたいに喜びましたよ。
当時はもうその後の7日間はおまけみたいなものだとしか考えていなかった。9日目、10日目まではまだ何とも思っていなかったです。
そして11目の稀勢の里戦に勝って、あれ?これはひょっとしてひょっとするかもと思ったんですよね。
12日目の鶴竜戦にも勝って、その段階で初めて優勝を意識しました。
そして13日目。運命の日馬富士戦。相手は優勝を争う横綱。仕切り前に日馬富士と長い間睨み合い。
結果は逆転の首投げで勝ちました。あの首投げはその後何度見返しても感動しますよ。本当にあれ以上美しい首投げなんてこの世に存在しないですから。
結局これに勝ったことによって日馬富士は優勝争いから完全に脱落。残り2日間で2差で当時平幕下位にいた遠藤が追ってくるというほぼ優勝が決まった状態になりました。
14日目、玉鷲戦の前に遠藤が負ければその段階で優勝が決まったのですが、遠藤は勝ってその時点では優勝は決まらず。しかし豪栄道玉鷲に難なく勝って悲願の初優勝。本当に感無量でした。
しかし後々よく考えると、千秋楽に琴奨菊に勝って全勝優勝を決めたことの方が大きかったですね。
全勝優勝と14勝での優勝では全然価値が違いますから。
その後その年の年末までずっと上機嫌でしたね。

しかしその奇跡の全勝優勝から1年後の2017年秋場所、信じられない、今でも信じたくないような悪夢、悲劇が待っていました。
独走状態からのまさかの3差逆転でのV逸。
もう悔しくて悲しくて、自宅の壁に八つ当たりして今でもその時に出来た穴が残っています。
その時もカド番でした。初日に負けてこれはヤバいなと思ったところから8連勝で9日目にあっさりカド番脱出。個人的にその翌日に引っ越しをしたので、何か運命的なものも感じました。カド番脱出した瞬間は勿論飛び上がって喜びました。
しかし1年前に全勝優勝を経験していたので、頭の中ではすぐにカド番脱出から優勝へと切り替わりましたね。
その後11目まで連勝が続いて11目が終わった段階で10勝1敗。後続は3敗と既にもう独走状態。
12日目。その3敗勢が全員負けて、これはもう余裕だなと思ったらまさかの松鳳山戦で負け。
それでもまだ残り3日間で2勝すれば良い状況と圧倒的に有利なのは変わらず。
しかし13日目の貴景勝戦でも負けてまさかの連敗。これでもう全く分からなくなってしまいました。
結局14日目には勝ったものの千秋楽の日馬富士戦で本割、優勝決定戦と連敗して大逆転で優勝を逃してしまう結果に。
奇しくも日馬富士に1年前の雪辱を果たされてしまう結末になってしまいました。
優勝決定戦で負けた瞬間即テレビを消しましたよ。勿論優勝インタビューも見ていません。そんなの悔しくて見られるわけないじゃないですか。

そんな悔しい思いをしてから2年後の九州場所
去年の九州場所の初日の遠藤戦で左足首に全治8週間の大怪我をしてしまいました。
それが結果的に大関からの陥落、そして引退の原因にもなってしまいました。無念です。
あの大怪我さえなければまだまだ大関としてやっていけただろうに。無念です。
しかしどうしても納得がいかないのが、何故大関特例復帰の権利を行使せずに引退をしてしまったのか。
大関から陥落直後の場所で二桁勝てば大関に復帰出来るのに何故それを放棄してしまったのか理解が出来ません。
豪栄道は引退会見で大関から落ちることが決まってやる気がなくなったと言いましたが、大関から陥落直後の場所は実質大関みたいなものじゃないですか。何故そのように考えられなかったのか。
もしかしたら二桁勝てていたのかもしれないと思うと非常に勿体無いですよ。二桁チャレンジしてからでも良かったじゃないかと思います。