朝乃山と豪栄道

★朝乃山

朝乃山には4つの幸運がある。

①大学時代から入門まで

 大学時代には3年生まで目立った実績がなかったが、相撲界入りする際に重要な4年生で全日本相撲選手権大会で3位、国体成年の部4位になる。朝乃山が相撲界入りする直前に三段目最下位格付け出し制度が出来て、彼はその制度を利用して三段目からデビュー。同制度適用第一号。

②優勝

幕内では13勝以上が一度もなく、12勝が2回。そのうちの1場所(2019年夏場所)で優勝(横綱との対戦なし)し、それにより令和初の優勝力士となる。
しかもその場所の千秋楽で当時来日して大相撲観戦をしていたトランプ大統領から直接アメリカ合衆国大統領杯(トランプ杯)を受け取り、一躍時の人となる。

③年間最多勝

2019年は横綱や当時の大関が休場だらけで年間最多勝のラインが異常に低くなり、その恩恵を受けた結果当時小結だった朝乃山が史上最少勝利数(55勝)で年間最多勝を獲得する。

大関昇進

大関取りでは当時の両横綱が高齢で休場が多く、大関貴景勝1人しかいなかったことが追風となり、3場所32勝(不戦勝2つ含む)で大関昇進
不戦勝の相手は横綱鶴竜と元大関高安だったので負けていた可能性も十分にあったから幸運だった。
横綱戦は3戦全敗だったが場所全体の相撲内容を評価された。

 

 

豪栄道

彼の誇れる実績

全勝優勝

大関在位33場所(歴代10位)

大関時代の勝利数260勝(最高位が大関の力士に限る、歴代10位)

20連勝

・14場所連続関脇在位記録

 

 

 

 

初日 勝ち 栃ノ心
(後の大関、優勝1回、年間最多勝1回)
2日目 勝ち 正代
(後の大関、優勝1回)
3日目 勝ち 栃煌山
(元関脇)
4日目 勝ち 貴ノ岩
(※前頭)
5日目 勝ち 宝富士
(※関脇)
6日目 勝ち 高安
(※関脇、後の大関)
7日目 勝ち 隠岐の海
(元関脇)
8日目 勝ち 嘉風
(元関脇)
9日目 勝ち 碧山
(元関脇)
10日目 勝ち 照ノ富士
(※大関、後の横綱、優勝9回:全勝優勝1回、年間最多勝1回)
11日目 勝ち 稀勢の里
(※大関、後の横綱、優勝2回、年間最多勝1回)
12日目 勝ち 鶴竜
(※横綱、優勝6回)
13日目 勝ち 日馬富士
(※横綱、優勝9回:全勝優勝3回)
14日目 勝ち 玉鷲
(後の関脇、優勝2回)
千秋楽 勝ち 琴奨菊
(※大関、優勝1回)

※印は当時の番付

優勝9回、全勝優勝3回の横綱日馬富士

優勝6回の横綱鶴竜

優勝2回で後の横綱である大関稀勢の里

優勝9回、全勝優勝1回、年間最多勝1回で後の横綱である大関照ノ富士

 

 

優勝1回の大関琴奨菊

後の大関である関脇高安

優勝1回、年間最多勝1回で後の大関である栃ノ心

優勝2回で後の関脇である玉鷲

優勝1回で後の大関である正代

彼らの他にも貴ノ岩以外は全員元関脇か後の関脇、あるいは当時の関脇との対戦であった。そんな状況で全勝した。

この場所は横綱戦と大関戦の対戦回数が5回あり、優勝次点が13勝というハイレベルな場所であった。横綱戦と大関戦の対戦回数が5回以上(優勝決定戦を除く)あり、優勝次点が13勝以上という条件で優勝した力士は21世紀以降では横綱(後に横綱に昇進した力士も含む)以外は豪栄道しかいない。

また、横綱戦で複数人から勝利、かつ横綱戦と大関戦での勝利数が5勝以上(優勝決定戦を除く)、かつ優勝次点が13勝以上という条件で優勝した力士は15日制で開催された場所(1939年5月場所~1944年1月場所と15日制が定着した1949年5月場所以降)では合計10人しかいない。豪栄道大乃国大関でその他は全員横綱。ちなみに大乃国は後に横綱に昇進しているので最高位が大関なのは豪栄道だけである。