大関朝乃山は強運である

2020年春場所後、朝乃山は大関昇進が決定した。
しかしこの朝乃山という青年、実はとんでもない強運の持ち主なのである。
 
近畿大学時代、後の朝乃山である石橋は、個人タイトルを7つ獲得した。しかし、3年生までは主要な大会のタイトルは無かった
ところが、4年生で国体成年の部4位、全日本相撲選手権大会ベスト4の実績を残したことで、2015年5月に創設されたばかりの三段目付出資格を取得した。
石橋の三段目付出入門は2016年1月28日に日本相撲協会の理事会で承認され、同制度の適用第1号となった。これは幸運である。何故なら、もしこの制度がなかったら、石橋は前相撲から相撲を取らなければならなかったからである。前相撲からのスタートと三段目からのスタートでは全然違うのだ。
 
石橋は2016年春場所初土俵を踏むと順調に出世していき、初土俵から1年後の2017年春場所十両へ昇進し、その際に石橋改め朝乃山と四股名を変える。
その3場所後の秋場所では新入幕を果たす。
新入幕であった2017年秋場所から2019年春場所までは平凡な平幕力士であった。
しかし時代が平成から令和に変わるとまるで別人になったかのように強くなったのである。
令和初の本場所となった2019年夏場所。幸運な出来事が起こった。当時優勝争いをしていた栃ノ心との戦いで誤審により勝利したのである。ちなみにこの場所では横綱鶴竜も優勝争いしていたが、鶴竜戦は組まれなかった。
結果的に12勝3敗で平幕優勝を果たした。朝乃山が12勝以上した場所は2回あるが、そのうち1回は優勝なのである。何と幸運なのだろうか。ちなみに13勝以上は経験はない。
しかも彼は令和初の優勝力士となったのである。
もうその時点で幸運なのだが、この場所では米国のトランプ大統領が千秋楽に大相撲を観戦したことにより、朝乃山はトランプ大統領から直接アメリカ合衆国大統領杯を受け取った。これはただの幸運では片付けられない。朝乃山にとっては一生忘れられない出来事だっただろう。
朝乃山にとって飛躍の年となった2019年の成績は55勝35敗であった。この年は横綱や当時の大関が休場や不振が目立ったことによって勝ち星が伸びず、その結果幸運なことに当時まだ小結であった朝乃山が史上最少勝利数で年最多勝を獲得した。また、1年間小結以下の地位での年間最多勝は史上初であった。
 
大関挑戦は新小結だった2019年九州場所から始まり、九州場所新小結で11勝、2020年初場所新関脇で10勝、春場所関脇で11勝。三役として3場所計32勝という結果を残した。
大関昇進の目安とされる33勝には1勝届かなかったが、審判部が朝乃山の相撲内容を高く評価したことによって大関へ昇進となった。
この大関に挑戦していた3場所中にも幸運があった。
2019年九州場所初日の横綱鶴竜戦と2020年春場所5日目の元大関高安戦が不戦勝だったのだ。32勝中2勝は不戦勝だったのである。
2人とももし戦っていたら苦戦を強いられていたであろう相手だっただけにこの不戦勝2つはかなり大きかった。
また、審判部に良い印象を与えるためにも重要だった横綱戦では3戦全敗であった。しかし、場所全体の相撲内容が評価されて大関昇進となった。
 
以上である。
一体どれだけの数の幸運があったことだろうか。羨ましいくらいの運の良さを彼は持っている。
しかし彼はまだ27歳。これまで幸運によって数々の成功や幸せを掴んできたが、それはあくまで現時点での話である。将来的には運なんかに頼らなくても絶対的な実力でスターになれる可能性を秘めている力士である。是非絶対的な実力で私を黙らせてほしいものだ。
これからの活躍が楽しみにしている。
相撲ファンはみんな稀勢の里以来の日本出身横綱誕生を夢見ている。是非彼にはそれを実現させてもらいたい。